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本当の美しさを求めてーかぐや治療院

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長寿遺伝子(FOXO)(2)

転写因子のFOXOの活性化はがん細胞の増殖を抑制する。
FOXOは「Forkhead box O」の略で、DNA結合ドメインFOX(Forkhead box)をもつForkheadファミリーのサブグループ“O”に属する転写因子です。哺乳類ではFOXO1,3,4,6の4種類が存在、線虫ではDaf-16、ショウジョウバエではdFOXOとそれぞれ1種類のみ存在し、栄養飢餓時に活性化される転写因子です。
FOXO1とFOXO3は約650個のアミノ酸からなる蛋白質で、遺伝子のプロモーター領域のTTGTTTACという配列に結合 します。アンドロゲン受容体やβカテニンとも相互作用します。
転写因子というのは特定の遺伝子の発現(DNAの情報を蛋白質に変換すること)を調節している蛋白質で、FOXOはストレス応答、代謝制御、細胞周期、アポトーシス、DNA修復などに関連する多くの遺伝子の発現誘導を促します。がん抑制遺伝子としての性格ももっており、FOXOの活性化は抗がん作用があります。
FOXOは様々なストレスに対する抵抗力を高める作用を担っており、カロリー制限における寿命延長や老化性疾患の抑制において重要な役割を果たしていることが知られています。
FOXOはインスリン-PI3K-Aktシグナルによって負に制御されています。つまり、PI3K-Aktシグナルが活性化されるとAktによって直接的にリン酸化され、FOXOの核外移行を促進することでその転写活性は抑制されます。一方、栄養飢餓状態ではPI3K-Aktの不活性化に伴いFOXOの活性化が誘導されることになります。つまり、カロリー制限や糖質制限やAMPK活性化などによる寿命延長や抗がん作用に関与する転写因子として重要な役割を担っています。
脂肪酸のβ酸化の亢進やケトン体のβヒドロキシ酪酸がFOXOを活性化することが知られています。ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体α(PPARα)のリガンドであるフェノフィブラートがFOXOの活性を亢進することが報告されています。
AMPK-5.png

図:インスリンやインスリン様成長因子1 (IGF-1)による増殖刺激によって、がん細胞はPI3K/Aktシグナル伝達系のタンパク質がリン酸化されて活性化されると増殖や転移が促進される。転写因子FOXOはAktによってリン酸化されると核外に移行するので、転写活性が阻害される(左図)。 したがって、Aktを不活性化してFOXOのリン酸化を阻害すれば、FOXOの活性が高まる。FOXOによって発現が亢進される標的遺伝子には、がん細胞の増殖抑制やアポトーシス誘導や血管新生阻害に関わる遺伝子があり、FOXOの活性化はがん細胞の増殖や転移を抑制する。抗老化や寿命延長効果もある。AMPKを活性化するメトホルミンやケトン食で増えるβヒドロキシ酪酸 やPPARα(ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体α)のリガンドであるフェノフィブラートはFOXOの活性を亢進する(右図)。



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